高分子超薄膜 高分子物性 原子間力顕微鏡

熊木治郎研究室

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研究概要 

原子間力顕微鏡を用いた高分子鎖直接観察による研究

高分子は、一般に長くてフレキシブルなひも状の分子ですが、それが孤立鎖から非晶性の固体になり、 さらに結晶等の高次構造を形成します。この形成過程を知ることは、高分子を理解し、その高性能化を目指していく上で非常に重要です。 高分子科学の多くの先人が様々な手法で構造を明らかにして来ましたが、一見分かったように思っていることも、 分子レベルでよく考えれば、まだまだ不明な点が多いことに気付きます。私達は、原子間力顕微鏡(AFM)を用いて、特に高分子2次元膜(Langmuir-Blodgett 膜等) を観察することで、文字通り高分子を分子鎖レベルで直接観察することに世界に先駆けて成功し、

①高分子孤立鎖の構造と運動性
②2次元折り畳み鎖結晶構造
③高分子多重らせん構造と形成メカニズム

等を明らかにして来ました。AFM は、多くの研究室が所有していますが、高分子の様々な構造を文字通り分子鎖レベルで研究できるのは、世界的にも極めて限られた研究室だけです。 高分子の本質的な問題を、直接見て研究したいというのが我々のモットーです。 分子レベルの直接観察は、高分子の本質を理解するだけでなく高分子を用いたナノマテリアルを創出するためにも重要な要素技術です。 また、観察と密接に関係している高分子Langmuir-Blodgett 膜は、実用的に重要な高分子超薄膜の極限構造であり、その構造と構造制御についても研究を進めています。

2次元折り畳み鎖結晶


直接観察のメリット

高分子鎖の直接観察には以下のようなメリットがあります。

  ①集団ではなく個々の分子の特性を知ることができる。
  ②不規則な構造を知ることができる
  ③X線で解析できない複雑な構造を知ることができる


こうしたことは直接観察でないと不可能なことです。ただし、直接観察は手段の一つに過ぎません。 高分子合成・高分子物性、他の評価手段等を統合して初めて意味のある研究になります。 当研究室では、直接観察は一手段として、あくまで高分子全体を理解できるように心掛けています。

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